【いちやま健幸倶楽部からのお知らせ】「いちやま健幸プロジェクト」の取り組みが国際医学雑誌『BMJ Open誌』で掲載されました
株式会社いちやまマート(本社:山梨県中央市 代表取締役:三科雅嗣)は、地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区 理事長:秋下雅弘)との共同研究の一環として、経営理念である「健康的な食生活が幸せをもたらす」の実現に向けて、「いちやま健幸プロジェクト」を実施しております。(2024年10月25日プレスリリース)。この度、本研究の背景や方法等をまとめたプロトコル論文が2025年9月3日、国際医学雑誌である「BMJ Open誌」に掲載されたことを報告いたします。
共同研究の目的
高齢社会において、高齢者のフレイル(加齢に伴う心身の衰え)を予防することは重要です。食習慣はフレイル予防の重要な要素であり、その中には食品摂取多様性を向上させること(多様な食品を食べること)も含まれます。しかし、日常生活において、高齢者が食品摂取多様性を向上させるために、どのようなアプローチが効果的であるかはわかっていません。
そこで、我々は地域住民の食の供給拠点であるスーパーマーケットに着目しました。誰もが訪れるスーパーマーケットにて、食品摂取多様性を向上させる健康増進プログラムを行うことによる、食生活行動に与える影響を明らかにするために、本研究を計画しました(現在実施中)。
共同研究の対象と内容
本研究は、日本の山梨県と長野県に展開するスーパーマーケット「いちやまマート」の 15 店舗を対象としたクラスター非ランダム化並行群間比較試験です。7 店舗を介入群、8 店舗を対照群に割り当てます。介入群の店舗は、健康促進プログラムを実施し、対照群の店舗は通常どおり営業します。
健康促進プログラムの特徴は以下のとおりです。
ソーシャル マーケティング(※1)を活用して戦略的に設計されたプログラムに基づき、情報・教育・サポートの提供を行います。
※1:健康行動 を「製品」として考えた際に,地域住民がその製品 (行動)を購入(採択)するための戦略的アプローチを設計するという概念で構成される考え方。
情報提供
お客様へのヒアリングを実施し、コアメッセージを作成します。ポスター、リーフレット、店内アナウンス、SNS等を通じて、多様な食品を食べることの重要性を伝えるメッセージを発信します。
教育機会
「フレイル予防」や「食生活・栄養」をテーマとした講演会、相談会など定期的な健康イベントを開催します。
並行して、握力測定や歩行速度測定といった身体機能測定会も開催します。
サポート環境
行動経済学のナッジ理論を用いて、店内環境の設計を行います。(例:惣菜・弁当コーナーのディスプレイの工夫、SNSにおける店舗・顧客間でのコミュニケーションの促進)
共同研究の評価方法
10種類の食品群の摂取頻度により点数を算出する「食事多様性スコア (DVS)」等のデータを、ベースライン及び 1、2、3 年後に郵送および電子調査で収集します。いちやまマートのポイントカード会員を回答の対象とした調査を実施することで継続的な評価を行っていきます。
共同研究関係及び資金提供
本研究は、東京都健康長寿医療センター研究所、株式会社いちやまマート、メディトリーナ株式会社、一般社団法人健康長寿支援センターの4団体による共同研究契約に基づき実施されます。株式会社いちやまマートは、本研究実施のための資金提供を行っています。
<論文情報>
著者名:
Tatsunosuke Gomi, Keiko Motokawa, Maki Shirobe, Masanori Iwasaki, Misato Hayakawa, Ayako Edahiro, Hirohiko Hirano
タイトル:
Effect of health promotion interventions in supermarkets on dietary variety among Japanese older adults: a protocol for a cluster non-randomised parallel-group comparative trial
雑誌名:BMJ Open. 2025 Sep 3;15(9):e099985.