#いちやま四姉妹 農家訪問 │ 第1回 無農薬JAS有機野菜 おばら農園 様
こんにちは、いちやま四姉妹の長女、いちかです。いちやま四姉妹 農家訪問は、いちやまマートで売られている美味しい野菜、果物、食品がどのように育っているのか突撃取材してお客様にお届けする企画です。時には実際に農作業をお手伝いをさせていただきながら、生育のこだわりや苦労している点などをお届けしてまいります。
本日は、山梨県北杜市長坂町に位置するおばら農園様にお伺いしました。おばら農園様は、無農薬JAS有機の野菜を春~秋にかけて30~40種類ほど育てています。いちやまマートへは年間で約20種類卸しており、多い時で10種類ほどが店舗に並びます。
いちやまマートでの売れ筋商品は、トマト、きゅうり、葉物野菜、にんじん、たまねぎなどです。特に有機のトマトは貴重で、毎年楽しみにしているお客様も多くいらっしゃいます。
なるべく手間をかけず、野菜が持つ力に任せています
これだけ広い畑だと、水やりは大変なのでは?と感じ、疑問をぶつけてみました。
小原さんは、「植えたときに少し水をやる以外には、基本的に水やりはしないんです。」とおっしゃいます。
水を与えられない植物は、水を求めて細かい根をどんどん地中に伸ばしていきます。しっかり根を張ることができれば、自分で地中から水分を取ってくる力があるそうです。人間が水を与えてしまうと、植物はそれに甘えて根を張る努力をせず、ひ弱な野菜になってしまいます。
なるべく手間をかけず、野菜が本来持つ力に任せて育てているそうです。
そのためには、野菜本来の旬に合わせて育てるのが重要です。旬の時期は野菜の生育に最も適した時期なので、手をかけなくても健康に育ってくれます。
JAS有機野菜を育てるのは、雑草と虫との戦い
いちか「農薬を使えないということですが、雑草や虫はどうやって対策しているのですか?」
小原さんは、「JAS有機野菜を育てるのは、雑草と虫との戦い」と語ります。
夏野菜は、朝冷え込むこともあるため、野菜の根本にビニールを敷き、保温を兼ねて雑草、害虫を防ぎます。秋野菜は、夏の間に透明なビニールを敷いておき、太陽光で雑草の種を焼き殺します。地表の温度は60~70℃にもなります。後はビニールを取って、種を撒いたら成長を待つだけ。こうした方法は、慣行農法(有機や特別栽培とは区別される、通常の農法)からも勉強して積極的に取り入れているそうです。
小原さん「虫は、見つけたら1匹ずつ指で潰すしかありません。成長点という、植物の成長していく柔らかい部分に好んでつくため、放置すると植物は育たなくなってしまいます。特にハウスで苗を育てている間は気を使いますね。」
見た目を一定に揃えて出荷し続けられるのが、プロ
長い期間収穫し続けるために、種まきは1作物につき1週間に1回、全部で10回程度に分けて撒くそうです。種まきの時期をずらすことで、収穫の時期もずれて収穫の期間が長くなっていきます。
夏野菜はぐんぐん大きくなるため、作物の成長スピードに合わせた作業が必要になります。大きくなりすぎると見た目が悪くなるだけでなく、袋詰などの作業スピードも低下してしまいます。
小原さんは、「見た目を一定に揃えて出荷し続けられるのがプロ。作物が一番良い時を見極めて収穫できるように、いつも気が抜けない。」と真剣な眼差しで語っていらっしゃいました。
小原さん「例えば、レタスは日が昇る前に収穫してしまわないと、葉のパリパリ感が失われてふにゃふにゃになってしまいます。キュウリやズッキーニは特別成長が早いので、朝と夕方の1日2回収穫しないとなりません。見逃すと大きくなりすぎてしまい、半日でおばけきゅうりみたいになってしまううんですよ。おばけきゅうりを放置すると、その次に収穫するはずだった実に行く栄養が持っていかれて育たず、収穫スケジュールが狂ってしまいます。だから、やるべき作業を逃さないのがとても大切です。
夏野菜の収穫は、はじまったらノンストップなのです。」
JAS有機野菜は病気や天候不順に強いので価格が安定しています
いちか「JAS有機野菜を栽培することのメリットは、何があるのでしょうか?」
「JAS有機野菜は価格が変動しづらいんです。」と、小原さんが説明してくださいました。
農薬を使わず、野菜が持つ自然の力で育てているため、野菜自体が病気や気候変動に強くなっていて、多少のことで全滅したりしません。病気や冷夏が原因で野菜の価格が高騰しても、JAS有機野菜は価格があまり変わらないため、野菜が不作の年ほどJAS有機野菜が売れるという現象が起こるそうです。
また、おばら農園は農協に卸しておらず、販売店と直接契約をしています。そのため市場の価格変動の影響を受けづらく、商売としても収入が安定するメリットがあるそうです。
野菜の生育スケジュールにぴったり合わせた生活に苦労します
いちか「逆に、JAS有機野菜を栽培する上で苦労することは何でしょうか?」
小原さん「一つの作物を大規模に育てる慣行農法(有機や特別栽培とは区別される、通常の農法)の農家と比較して、JAS有機農業は多品種の育成が求められます。
農薬を使えないため、特定の作物が今年はうまく育たなかった、ということも起こりうるため、多品種を育ててリスク分散をする必要があるのです。
野菜には作物ごとに、種まきや収穫にベストな時期があります。農薬や、暖房つきのハウスを使わない代わりに、野菜の本来の生育スケジュールにぴったりあわせて作業していく必要があります。
少しでも時期を逃してしまうと、育ちすぎたりして余計な手間がかかってしまいます。そのため、野菜に合わせた生活となり休みが取りづらいのが苦労するところですかね。」
そう、苦笑いしながら教えてくれました。
今は、野菜の苗を畑に植え替える作業をしています
今の時期は、ハウスで育てていた野菜の苗を畑に植え替えるのが主な作業ということです。
小原さん「畑に植えたばかりの今の頃は、黒いビニールで根本を覆って地熱で保温してあげたり、不織布で霜よけをしてあげたりしています。季節が進むにつれて地表温度の下がる白いビニールに変えたり、不織布を取ったりしていくんです。
今年初のサニーレタスをいちやまマートに出荷したところでして。これからスナップエンドウ、キャベツ、レタス・・・・など色々な野菜が出てきますから楽しみにしていてください!」
笑顔で語ってくださる小原さんからは、野菜への愛情が溢れていました。農薬を使わずに野菜を育てるということは、野菜が本来持つ生きる力を活かして、野菜に寄り添った農業を行うことなんだな、と考えさせられました。次回は、夏野菜の収穫期にお邪魔してみたいと思います。
小原さん、本当にありがとうございました!